3D映画の大ヒットに加え、大手テレビメーカーも続々と3D対応テレビを発表し、3D映像のブームはますます本格化している。
そこで今回は、簡易的ではあるが、EDIUSを使用した3D編集のワークフローをご紹介しようと思う。
実際のところ現在のEDIUSに3D編集用の特別な機能は実装されていないが、3Dに対応した撮影素材やCG素材であれば、最低限必要となるカット編集は可能となっている。
そのことを踏まえながら、今後の対策という意味合いも含めて本記事を活用して頂ければ幸いである。
まずは簡単に3D映像の原理を説明する。
3D映像は人間の視覚を参考にして作り出されている。人間はものを見るときに、左目と右目で角度の異なる2つの映像を捉え、その2つの映像を脳内で1つに合成して、立体的にものを見ている。(1)
この目の仕組みを、3D対応テレビや3Dメガネなどを利用して再現することで、立体的な映像を作り出している。
これらの原理から、3D映像は左右2つの映像で成立していることがわかる。よって3D編集のポイントは、「左右2つの映像の時間軸を同期しながら編集を行う」ということになるので、そのポイントを踏まえながら、EDIUSで行う効率の良い3D映像の編集をご紹介する。
また、編集だけでなく、「Side by Side」という3D放送で使用されている最もスタンダードな合成方式もご紹介するので、3D環境が整っている方は実際に編集結果を確認していただければと思う。
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3D映像の見え方に注意
3D映像の制作では、今まで以上に仕上がりに対する注意が必要となってくる。 |
■はじめに
EDIUSでの3D映像編集を簡潔に言うと、「左右のカメラで撮影された映像を上下のトラックに配置し、片方の映像を見ながら編集したのちに、左右映像の横幅を半分に縮小して、左右に配置する」ということになる。
ちなみに、最後に登場する「左右映像の横幅を半分に縮小して左右に配置」というフローが、「Side by Side」と呼ばれる3D映像形式だ。

■準備
・ トラックに左右を区別できる名前をつける

・ 左右映像をタイムコードで頭合わせしてタイムラインに配置する
メニューバーの「モード」→「マルチカム」(2)を選択しマルチカムモードにする。

ちなみに、メニューバーの「モード」→「画面数」→「2画面」(3)を選択し、2画面表示にしておくと、左右映像を並べて確認できるので便利だ。

次に、メニューバーの「モード」→「同期ポイント」(4)を選択し、「タイムコード」を選択する。

■編集
・ ネストシーケンス機能を活用した編集


素材シーケンスとメインシーケンスを作成した後、ネストシーケンス機能を用いて編集していく。
ネストシーケンス機能を活用すると、素材シーケンスを1つのクリップとして扱うことができるので、通常通りの方法で左右の映像を同時に編集することができる。
メインシーケンスを開き、Binウィンドウにある素材シーケンスをタイムラインに配置する。
ここからはいつもと同じように、プレビューウィンドウに表示される映像を確認しながら編集を進めていく。
この方法では、左右のビデオクリップを直接編集しないので、クリップの同期がずれるという心配もない。

・ エフェクトの適用
メインシーケンスで通常通りエフェクトを適用できるが、3D映像では形を変えてしまうようなエフェクト使用すると、違和感のある立体映像を作り出すことになる。その結果、視聴者の気分を悪くする可能性があるので、3D編集では、カラーコレクション系のエフェクト以外は使わない方が良い。
・ 編集結果の確認

・ Side by Sideでの配置
メインシーケンスで編集し終えた後、左右の映像をSide by Sideに配置する。
はじめに、Side by Sideに配置するビデオレイアウトプリセットを下記のボタンからダウンロードする。

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■side by side ビデオレイアウトプリセットの詳細
左用レイアウト 「LEFT」
右用レイアウト 「RIGHT」 |


Q1) テロップを入れることは可能?
A1) 先にも書いたが、現行のEDIUSには3Dテロップ作成機能は搭載していない。
ただし、奥行き感のある映像を扱い、さらに位置関係としてテロップが一番手前になる場合は、左右の映像に全く同じテロップを置くことによって結果的にテロップが映像の上に浮かび上がって見えるようになる。かなり簡易的ではあるが、ケースによってはEDIUSでもテロップ作成は行えるということになる。
A2) トランジションかけると、奥行き感の異なる2つの映像がクロスすることになり、違和感を感じる3D映像になる。カラーコレクション以外の形を変えるようなビデオフィルタでも、違和感を感じる3D映像になってしまうので、カラーコレクション以外のエフェクトは使わない方がよいだろう。
A3) 左右映像の同期が崩れると、合成された3D映像がおかしなものとなり、結果的に視聴者の気分を悪くしてしまう恐れがある。カラーコレクションなどのエフェクトを加えた場合も、左右の映像が同じ結果になるよう気をつけよう。
A4) 今回、3D映像のビデオアウトを確認したテレビでは、テレビ側を3D(Side by Side)のモードに設定する必要があった。
A5) 現段階でのスタンダードな再生方法は、3Dテレビか3D対応のPCだ。
3Dテレビでの再生方法は、EDIUSでSide by Sideに配置したタイムラインを、「HD STORM」や「HD SPARK」などを使い3Dテレビにビデオアウトする、という流れになる。
3D対応PCでは、Side by Sideに配置したタイムラインをファイル出力して専用ソフトで再生、もしくは、左右各々の映像をファイル出力して専用ソフトで再生、といった方法が一般的だろう。
※上記は一例。再生機器や環境によって再生方法は異なる。
現在、日本を含め、世界中で3D映像が盛り上がりを見せている。メディアや視聴者の注目度の高さはもちろんだが、ここで注目したいのは、製品を生産するメーカーの技術革新が急速に進んでいるという点である。カメラ・テレビ・プレイヤーなど各社はしのぎを削って新製品を世に送り出そうとしている。
この現象を考察すると3D映像は今年(2010年)が元年とも言えるが、EDIUS.jpでは映像制作者の視点で業界全体の動向にも注視していきながら、EDIUSでの活用法を今後とも考えていこうと思う。